WiMAX比較の観点

WiMAXの通信速度や対応エリアの比較が不要である理由

WiMAX対応エリア

「下り最大708Mbps」といった高速インターネットが売り文句となっているWiMAX。対応エリアも確実に拡がっており、以前と比較すると都市部を中心に格段につながりやすいサービスになってきている。

ところが、25社前後あるWiMAXプロバイダの比較において、いまだに以下のような迷信を信じている人が多い。

・WiMAXのプロバイダによって通信速度が変わるので、できるだ速いプロバイダを選んだ方が良い
・利用する場所によって、電波が強いプロバイダと弱いプロバイダがあるので、その地域に合ったプロバイダを選択するべきだ。
・WiMAXのプロバイダによって速度制限や通信制限のルールが違うので、よく確認してから契約した方が良い。

あなたは1つでも〇だと思うものがあっただろうか?それとも「全部〇、そう、その通り!」などと思われただろうか?

ブブブー、全部×(バツ)です。全問間違い、不正解ですー。

そう、1つでも〇だと思うものがあっても恥ずかしがらなくても良い。いまだに上記のような迷信を信じている人が多いのだ。繰り返しになるが上記はすべて間違い・嘘・デタラメである。

WiMAXプロバイダはMVNO事業者、自社でそれぞれ通信回線がある訳じゃない

WiMAX基地局

WiMAXの屋外基地局、3万突破!

WiMAXという通信サービスは、日本全国にあるWiMAX通信専用の無線基地局(電波を受信するアンテナなど)や基地局間の通信ネットワークによって提供されている。WiMAXの屋外基地局数は30,000局を突破しているらしい。このWiMAXの通信サービスに必要な基地局などのインフラを整備・管理しているのがUQコミュニケーションズと言う会社である。

この30,000局以上の基地局の管理から、さらに追加基地局の設置まで、この膨大な仕事はその辺の会社でできるものではない。相当な人数の技術者と、無線通信に関連する専門の知識や経験が必要なはずだ。つまり、WiMAXの通信回線を維持・管理できるのはUQコミュニケーションズ社のほかに存在しない

世の中にある無数のWiMAXプロバイダは通信回線を借りて商売をしてるだけ

つまりWiMAXのプロバイダ(GMOとくとくBBやBroad WiMAXなど)は、UQコミュニケーションズ社と契約してWiMAXの通信回線を借り、通信サービスを提供している、具体的に言えばWiMAX通信サービスの新規契約窓口業務と料金請求業務を代行しているに過ぎない。WiMAXのプロバイダがそれぞれ全国に張り巡らされた通信回線を維持・管理できる訳がない。

こうした他社の通信設備を借りて、あたかも自社で通信サービスを提供しているかのように振る舞う事業者をMVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ぶ。自社で通信設備を持っていないから悪いという訳では無い。格安SIMや格安スマホなどを提供する事業者もすべてMVNOだ。むしろMVNOの存在によって競争が促され、我々消費者にとってより魅力的な料金で通信サービスが提供されるようになる。

特にWiMAXのプロバイダは、契約窓口と料金請求や問合せ対応業務にだけ特化すれば良いため無店舗型(WEBサイトのみ)の事業者も多く、より安い料金でWiMAXサービスを提供できるようになっている。

ルーターさえ同じであれば、通信速度はどのプロバイダでも同じ

ここまでの説明の通り、WiMAXのプロバイダはすべてUQコミュニケーションズ社のWiMAX通信回線を利用するサービスを提供している。もっと言えば、契約を仲介しているだけだ。だから、通信速度や対応エリアがプロバイダにより変わる訳が無いのだ。

いまだにWiMAXのプロバイダにより速い・遅いがあったり、繋がりやすい・対応エリアが広いプロバイダがあることを信じている人もいるようなので、注意いただきたい。

一つだけ注意があるとすれば、契約するWiMAXプロバイダによって通信速度が変わらないのは、あくまで”同じルーター機種を使用していれば“という前提条件だ。

古いルーター機種を買わされないように注意

WiMAXプロバイダの中には最新機種のルーターを取り扱わず、1世代前・2世代前のルーターを提供するところがある。これには絶対に注意が必要だ。仮に古い機種で契約してしまうと、最新機種と比較してWiMAXの通信速度が遅い可能性がある。WiMAXのルーターは年々、その機能やスペックが進化しているためだ。

こうなると結果的に「通信速度が遅いWiMAXプロバイダ」というのが出てくる。これは古いルーター機種しか扱っていない、もしくは古いルーター機種の購入・選択を積極的に勧めてくるプロバイダだ。無駄にWiMAXの通信速度が遅くなるだけなので、こういったプロバイダにだけは注意しておきたい。

対応エリアも共通、プロバイダ間での比較は不要

ここまでの説明の通りWiMAXの通信速度は各プロバイダ共通になるが、当然ながら対応エリアにも変わりが無く、したがってエリアの広さや電波の繋がりやすさを比較する必要はまったく無い。

そもそも自分がいまいる場所がWiMAXの対応エリアか、圏内かどうかは、手元のWiMAXルーターが最も近いWiMAX基地局と電波の送受信を行えるかどうか次第だ。つまり近くにWiMAXの基地局があれば電波の送受信が可能なエリアである可能性が高く、また日本国内に基地局が増えれば増えるほど、WiMAX対応エリアが拡大することになる。

このWiMAXの基地局をどこに設置するか、どの程度のペースで増やしていくかはUQコミュニケーションズ次第であり、WiMAXの各プロバイダは関係ない。「電波がつながらないんだけど!」とWiMAXプロバイダに文句を言ったところで意味がない。極論で言うと、彼らは何もできないのだ。

圏内・圏外のエリア確認はUQ WiMAXのホームページで

現時点でどこが対応エリアかどうかの方法はUQコミュニケーションズ社が把握しており、その情報は同社が運営するUQ WiMAXのホームページ上で確認できる。どのWiMAXプロバイダで契約しようとも、WiMAXのエリア確認・対応エリアの最新情報はUQ WiMAXのホームページで確認せよ!というのが各プロバイダの対応だ。

UQ WiMAXのホームページで対応エリアを確認する方法としては以下の2つの確認方法がある。

WiMAX2+サービスエリアマップ

WiMAX対応エリア

首都圏周辺のWiMAX対応エリア

WiMAXの対応エリア状況をおおまかに把握する場合にはサービスエリアマップが便利だろう。こちらの画像のようにWiMAXの電波を送受信できる対応エリアがピンク色で表示される。このサービスエリアマップを確認すると、札幌、仙台、首都圏、名古屋、関西(大阪・京都・神戸)、福岡などの大都市中心部はピンクで綺麗に塗りつぶされており、ほぼ全域が対応エリアとなっていることが分かる。

ピンポイントエリア判定

ピンポイントエリア判定

ピンポイントエリア判定の画面イメージ

WiMAX2+のサービスエリアマップで見るとピンク色のサービスエリアとなっていても、実際には基地局と基地局の合間など細かな圏外エリアも存在する。例えば自宅がそのような圏外エリアであればアンラッキーだがWiMAXを使ってインターネットに接続することは難しいだろう。

このような詳細レベルでのWiMAXのエリア対応状況を確認するのに便利なのが、同じくUQ WiMAXのホームページで提供されているピンポイントエリア判定と言うサービスだ。このサービスの利点は、住所を入力すればWiMAXの電波状況を〇、△、圏外など簡単に把握できる点で、かつ住所は番地・丁目単位まで入力できる。つまり番地・丁目レベルでの詳細なエリア対応状況を調べることができるのだ。

このサービスを使ってWiMAXのエリア対応状況を確認すると、実際に通りを1本渡っただけでWiMAXのエリアが〇から△に変わるなど、基地局からの距離などによって対応状況が変わる様子を確認できる。

以上、各WiMAXプロバイダの対応エリアを比較するといったことはナンセンスで、あくまで上記の方法を用いて「自分でWiMAXを利用する場所が圏内か、圏外か」を事前に確認しておくことのみが重要なのだ。

通信制限・速度制限のルールも全プロバイダで共通、比較の必要なし

ちなみにWiMAXの通信制限・速度制限のルールとしては代表的なものが3つほどあるが、このルールも全WiMAXプロバイダで共通したものだ。制限の比較的緩いプロバイダや制限の厳しいプロバイダといったものは存在しない

以下、WiMAXサービスで共通した通信制限ルールや速度制限の発生パターンで代表的なものを3つ挙げておく。

月間通信容量7GB上限プランでの契約・7GB超過時の速度制限

まずWiMAXの通信量制限として共通するのが、月間通信容量7GB上限のプランで契約している場合は当然だが月間7GBまでしか通信が行えないという制限がある。そもそも月間7GB上限の料金プランと言うのもプロバイダで共通で、月間5GBや月間10GBといったWiMAXの料金プランはどのプロバイダにおいても存在しない。

月間7GBの通信容量を超過した瞬間から速度制限に突入する。これは通信速度が約128Kbpsまで制限される、スマホや携帯などと同様の速度制限なので、イメージできる人も多いかもしれない。この速度ではインターネット利用はほぼ不可能である。

ギガ放題プランでの契約・直前3日間で10GBまでの通信量制限

月間通信容量7GB上限のプランに対して、月間通信容量の制限が無いのがWiMAXのギガ放題プランである。このギガ放題プランがあるからこそWiMAXを選んだという人も多い、WiMAXならではのインターネット無制限プランである。

しかしながら無制限の意味を勘違いして、「何も制限がないポケットWiFi」と捉えている人もおり注意が必要だ。制限が無いのはあくまで月間通信容量のみであり、別途「直近3日間での合計通信量は10GBまで」という通信容量についての制限が存在する。10GBという通信量は通常のWEBブラウジングなどでは到達が困難な相当な通信量だが、高画質の動画を長時間視聴したり、オンラインゲームなどを長時間行うと抵触する可能性のある通信制限だ。

超過すると速度制限が発生するが、これは他の速度制限とやや異なる内容だ。WiMAXの通信速度は低速化するものの約1Mbpsでは通信可能とされており、かつ常に速度制限状態になる訳では無く制限されるのは主に夜間のみである。人によっては、そもそも制限にかかることが無かったり、また速度制限が発生しても気づかない可能性もある。

ハイスピードプラスエリアモード通信に対する通信量制限

この通信量制限は月間7GB上限プラン・ギガ放題プランのいずれにも共通したルールだが、auのLTEを利用可能なハイスピードプラスエリアモード通信は月間7GBまでの通信量と決められており、これもWiMAXプロバイダ各社で共通のルールだ。超過すると以降のWiMAXの通信速度が約128Kbpsまで制限されるため、ハイスピードプラスエリアモードの使い過ぎには注意が必要である。

以上、WiMAXの契約において通信速度やエリアの比較・検討が基本的に無意味で、時間を割いて行うものではないことを説明させていただいた。
他にもWiMAXの比較と言う名のもとに無意味な比較・検討を煽るサイトが少なくない。

通信速度やエリア比較以外の注意点は、本サイトのトップページを参考にしていただきたい。
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